「知らなくていいコト」を見終えた人の話

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「信じられないスクープは、私自身のことでした」

 

 

 


そんな謳い文句と共に、暖かく柔らかい雰囲気を纏わせた毎週水曜日22:00~放送されていた「知らなくていいコト」
 

 

 

 

www.ntv.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最高だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月8日21:59

幾度も流れるCM、今か今かと待ち望むドラマの始まり。

 

以下、筆者の心中

 

「わがままな編集作家の懐に飛び込むのが得意」らしい野中さんはきっと、駆け足で編集デスクに戻ってきて「取材許可…取れました!!」ってちょっとためて言った後、「よくやったな野中!!」「やっぱ野中だな!!」って背中を叩く先輩たちに頭かきながらはにかんで、ちらっと横目で真壁さんを見て満面の笑みでグーサイン送っちゃうような、

ドアが閉まろうとしている真壁さんの乗っているエレベーターまで、笑顔で早歩きして乗り込んで、「ねえケイさん?今日の夜ご飯何にする?」とか訪ねちゃったり、「俺、久しぶりにケイさんの作ったご飯食べたいな」とかちょっとした上目遣いでお願いしちゃうようなカワイイ年下彼氏なのかな、

 

でも

 

予告のあの笑ってない、むしろ戸惑っているような表情とか、振り向いたあのどことなく切ないお顔……何なんだろう…名前「夏」じゃなくて「春樹」だし………何………何なのこの感じ………

 

 

 

 

 

 

 

まさかの喪服

 

 

 

 

 

真壁さんに何も言わず一人で決断する野中さん、お母さまのことを考える野中さん、抱きしめられて抱きしめかえす野中さん、震えている真壁さんに「結婚しよう」とプロポーズする野中さん、「殺人犯の子供でも?」という言葉に一瞬表情が動く野中さん、「誰の子でも結婚できる?」という問いに「できるよ」と迷うことなく答える野中さん、寝ぐせの立った髪で眠そうな顔で「おはよう」と笑う野中さん……

 

 

 

 

 

あっ…あれ………思ってたのと違う……

 

 

 

 

 

 22:58

 

暗い服、嫌な予感、全然笑わない野中さん、笑っていてもどこか寂しさとか切なさといったなんだか寒色がつき纏う表情、そして「素晴らしき嘘」、エンドロールが流れ、終わってしまうと感じた時にいらっしゃた神妙な面持ちの野中さん。

 

 

 

 

 

 

「プロポーズはなかったことにしてほしい」

 

 

 

 

 

いや、私は分かっていた。さすがにプロポーズが衝動的すぎる。今じゃない、違う違う、そうじゃ、そうじゃない。

彼女が思い悩んでいる姿を見て、守りたいと思う気持ちは彼氏として至極真っ当だが、さすがに口から出てしまったが過ぎる。

室内に入ってこないその拒絶感。割り切ったというよりもうこの状況から逃げ出したい、もう限界まで来てしまったような表情。そしてこの絶妙な1週間という間。とても良い。あまりにリアルすぎる。そしてプロポーズの取り消し。

 

 

 

 

 

23:00

 

ドラマの公式ホームページ、野中春樹の紹介欄に追加された一言

「真壁ケイトの父親が殺人犯だと知り、別れを告げる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エッッウッワ!!そういう感じ!?!?野中さんそういう感じ!?!?えっ!!えっ!!野中さん!!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、思いながら、にやけが止まらない筆者でした。

 

 

彼女の父親が殺人犯だと分かってプロポーズを取り消し別れを切り出すのも、自分と彼女が知ってしまった秘密を元彼に話してしまうのも、自分の行いや選択は間違っていなかったとその確証を得ようとするのも、といいつつまだ彼女に対する恋愛感情が残っていたりするのも、次にお付き合いする彼女の父親に対して臆病になるのも、ましてや嫉妬や憤怒すら募って取り返しのつかないことをしてしまうのも、いざそれを本人が知ったら怖くて逃げてしまうのも、笑ってやり過ごそうとしたのも、お酒の力を借りないと思ってること吐き出せないのも、あと一歩が踏み出せないのも、感情的なのも衝動的なのも。

 

 

 

7話終了時点での私は、10割野中さん側に責任があることは分かるけど、だからといって私的には至って普通の人間だと思う。と思っていたのだけど、10話まで来たら、なんかもうそんなことどうでもよくなってました。アーメン。

 

 

 

でも、小泉さんの「付き合ってください」に何の躊躇いもなく受け入れているのを見てえっ?となったり、真壁さんが来た途端にしゃがんで顔を合わせないように必死なのはダサかったし、尾高さんに見つからないように部屋を出たのも、1人で何してんねんと思ったり。

 

「一方的に別れを告げた」という自分の非に目を背けて、尾高さんと真壁さんに歪んだ思いを抱く野中さんの人間としての弱さ。向き合うところは向き合える強さ。すぐに周りを見て抱く自己嫌悪。誰かに必要とされたい、という思いと大きな劣等感。

 

そして私的に一番、「野中さんの知らなくていいコト」はまさにこれだと思ったのは

 

 

 

 

 

 

 

「なんでケイさんは殺人犯の娘なんですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1話の例のプロポーズ解消から言われ続けてきた野中さんの悪評だけど

  • 殺人犯の娘であることにもやもやしたまま結婚して、戻るに戻れないところまで来てしまう

のと

  • しっかり自分の意見を伝えて、まだ戻れるうちに決断を下す

どちらが正しいのか

 

という問いでは、野中さんは正しい決断をしたと個人的に思っているんですけど、重岡さん自身も仰っていた、野中さんの弱さはその後なんですよね

 

 

どうも割り切れないのは、「まだ真壁ケイトのことが好きだから」

 

 

別れを切り出した理由は、「真壁さんに対する感情の変化」ではなく「結婚するなら子供が欲しいが、その子供に殺人犯のDNAは継がせたくない」。3話で真壁さんにあんな視線を向けたのも、野中春樹の中で「殺人犯の娘」だと定着してしまっていたからもあるだろうが、その事実を知った真壁ケイトの思い込みで余計に強く見えたところもあったんじゃないだろうか。

 

 

まだ真壁さんのことは好き。けれど結婚はできない。そのジレンマ。

 

 

真壁ケイトの出生をばらしたことを尾高さんに咎められた時にふい口から出た「ケイさん」。

 

そして何より、2人に対するこのもやもやした感情の根源が「真壁ケイトの父親さえ殺人犯じゃなければ」に野中さん自身が気付いていながら、どうすることもできずにこれまた衝動的な行動に出てしまったこと。

 

うっすらそれを想っていっても、それを認めることのできない野中春樹の弱さ。

 

尾高さんに真壁ケイトの父親について尋ねた時も、「お前、最低だな」の言葉に驚いたり狼狽えたりする様子は一切なく、ましてや認めたくなかった自分の行いを知ってしまったような感じ。(個人差あり)

 

襲撃事件で買い出しへ行くといっても返事がなく、周りを見渡した時の今にも泣きだしそうなあの表情。けれど、「真壁ケイトに悪いところはあったか」という質問だけ「なかったと思います」と答える

 

「尾高さんとケイさんの不倫がバレたら」「どうしてケイさんは殺人犯の娘なんですか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと思ったのは、殺人犯の娘だと気づいてしまった真壁ケイトを「夫」として守ろうと、あの時ふと野中さんの中で決意したのではないか、ということ。

 

 

 

それを貫ききれない、でも割り切れない

 

 




真壁さんも野中さんも相手の気持ちを理解することはできるけど、共感はできない。また、それを互いに知っているのが苦しかった。


野中さんの、知らなくていいコトに、野中さん自身が知ろうとしていたり、鈍感な方が幸せなのに、誰よりも敏感で全てを知ってしまっていたり、本当、小説家の転職が良い方向に転がれば良いな(せめてもの)

 

 

 

 

 

総じて、「衝動的」「葛藤」「焦り」「余裕がない」「必要とされたい」

 

いつ見ても泣いてしまいそうで、もういっぱいいっぱい、割り切る強さはないけれど向き合う強さはある。決断を下す強さはないけれど、衝動的な行動に移す強さはある

 

 

そんな、1人の人間でした。

 

 

 

 

 

 

最終話の編集長の退職届に対する反応が思っていたものと違くて、もう泣きそうになった後首をうっすらかしげて、笑って「ありがとうございました」って言ったの、どこまで行ってもこの人は幸せになれなかったんだなと、あまりに辛かったです(個人差あり)

 

編集長も東山さんも、良い先輩に囲まれていたはずなんだけどなぁ、、辛いな、、

 

 

 

 

 

22:00の私と23:00の私の違いが凄すぎた水曜日を過ごしていました。本当に、未来って何が起こるか分からない。

 

 

 

 

めっちゃ衝動的で一方的で、自分の中にある情報だけで善悪を判断する週刊記者。

 

それ以上を追おうとはしない、ある意味深追いしない良さもあるが、裏を取らずに事実だと判断してしまう、週刊記者としては如何なものかという点もある。  

 

 

 

野中さんに対して様々な感情を募らせては人間味、というものを深く味わった3ヶ月でした。

 

 

 

 

3年後、「闇落ちする亀」購入しようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

個人的には、放送前まで野中春樹を演じていた重岡さんが「普通の役」「今までとは少し違う役」と仰っていたのがとても印象的で。

スタッフさんに「好感度が下がるかも」と言われていた2話でもなお、「僕的には普通の人だと思った」と仰っていたり、野中春樹という役を普通の人間だと捉えている重岡さんをとても素敵な方だなぁと思ったりしていました。

 

もしかしたら私も野中さんに対して負の感情を抱いていたら、「良い子ぶっ(自主規制)」と思っていたかもしれない

 

 

実際に7話放送後あたりの雑誌インタビューでも「自分も同じことをしてしまう」なり「理由を伝えてプロポーズを取り消す野中は男らしい」なり「真壁ケイトと向き合わなければならないと頭では分かっていながら、体はまだ拒否している」なり、重岡さんの野中さんとの向き合い方はなんだかとても好きでした。

 

予告と裏スクープチャンネルと本編と言い方が違うの、どちらかが重岡大毅の想った野中春樹なのかなぁと考えたりしてました。叶うなら重岡大毅の想った野中春樹と監督さんの想った野中春樹、両パターン見たいなぁ

 

 

見た目や服装だけでなく中身の普遍的な部分もより一層野中春樹にリアリティや現実味を持たせた、これまた重岡大毅の強みとなったのかなぁと感じたり。

 

 

これからどんどん俳優・重岡大毅としての強みが広がり、いろいろな面を拝見できたら嬉しいと思いながら、水曜10時に喪失感を抱きながら生きていきます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W trouble、そんなものもあるみたいですね(落選)